植民地化したリッチモンドの行く末
ボーっとしてたら、いつまでたっても電車にも乗れない様な東京から、ひょっこりカナダにやって来た“都会っ子(?)“にとって、それは一種のカルチャーショックだった。
Safewayで精算の為に並んだ列が、一向に進まないのだ。長い列の先頭では、キャッシャーとお客の楽しいおしゃべりが止まらない。10分経って3歩前進のみ。なんだ、このペース?
これは、紛れもなく東京っ子にとっては異常で、でもどうもこの国では日常らしい。だってみんな柔かに待ってるもん。それどころか、あんたも、あんたもキャッシャーと楽しそうにおしゃべりか?
ここでは絶対暮らせねえ〜。
もちろん、不機嫌なキャッシャーと、目も合わさないように買い物をする日常がいいわけはない。そんなことは分かっているけれど、何事にも適度が大事じゃない?と思ったわけで、 “孫の今日の出来事“まで話が発展すると、おいおい冗談じゃねーぞと、ひっくり返りそうになった。
あれからもう30年近く経つ。態度に出して文句言うほどの根性も語学力も無かった 若き乙女は、立派に図々しいばばぁに成長し、リッチモンドは完全に中国の植民地となった。
どこに行っても醤油や豆腐が買える時代になり、今やキャッシャーと長々と話をする人の姿さえあまり見かけない。昔、2つの事を同時に出来なかったキャッシャーが、やっと支払いのトランザクションを待っている間に商品を袋詰めするという技(!)を覚え、必要な事しか言わず、黙々と仕事に専念している。
植民地化されたリッチモンドにおいて、古き良き時代は終わった。Time is money。スピードは、サービスだ。上等じゃないか!しかし、ふと思う。我々は、何を失くし、何を手に入れたのだろう?
中国の香港への弾圧により、金持ちの香港人がさらに、またカナダに続々と入ってくるらしい。“本当にまだ受け入れるの?“と思うけれど、どうもカナダ政府は止まることを知らないらしい。で、善良なるマイノリティは、立ち並ぶ新築マンションを見上げて、ため息ついて、こう言う。
“あーあ、さらにマイホームが遠のくなぁ〜”
〜捕捉〜
ちなみに、友人の情報によると、リッチモンドのSave On Foodのレジで商品を載せるベルト・コンベアが、他の地域の店と比べて、低いらしい。へえ〜
そこまでさせる中国人の存在感と言うやつは、恐ろしい〜